<来歴>

日本獣医生命科学大学卒業 農林水産省内定

所属 農林水産省 動物医薬品検査所に配属予定(本記事は昨年12月に作成頂いたものです)

獣医系の公務員とは

獣医系の公務員にはいくつかの種類が存在します。

 まず、農林水産省(獣医系技官)です。こちらは本省動物検疫所動物医薬品検査所の3つの部署の採用に分かれます。また、農林水産省の獣医系技術職の試験を突破することによって、独立行政法人である動物衛生研究所(農研機構)、家畜改良センターへの採用も可能性が出てきます(こちらは正式に公務員というわけではありません。給料などは公務員を基準に計算されますが、独立行政法人の職員として扱われます。また最近、家畜改良センターでは農水省の試験を経由しない採用ルートがあるようですが、ここでは割愛します)。

本省は基本的に法令の検討、他国との物品輸出入のやり取り、企業の申請などの受付などの業務で基本的にデスクワークがメインです。動物検疫所は空港、港での肉、動物の検疫業務などの検査業務、動物医薬品検査所は企業から申請のあった薬品の検査、薬剤耐性菌の状況など、研究と行政の両立した業務を行っています。また、独立行政法人の二つは主に、研究を主体とした業務を行っております。ただ、2-3年で本省と部署を行き来することも多く、転勤を前提として志望する必要があります。

 また国家公務員には、厚生労働省(獣医系技官)もあります。こちらは本省、検疫所などに勤務し、食中毒、感染症の把握などを行います。ただこちらは募集人数が農林水産省と比べてかなり少なく難関となるので、かなりの準備が必要です。

 総合職も同様、狭き門となるうえ、時期が早いのが特徴です。獣医系が6月からスタートなのに比べ、総合職は4月スタートの上、倍率も高いのでより速めの準備が必要なうえ、試験も獣医範囲には縛られないため他の範囲の勉強が必要となります。

 次に地方公務員(獣医職)です。こちらは2パターンの業務に分かれ、主に家畜衛生保健所、食肉衛生検査所などの家畜衛生に関わってくる業務と、保健所、動物愛護センターなどの公衆衛生に関わる業務が主です。

ただ、地方によっては動物園などを持つ県はそこに配属されることや、東京には豊洲市場関連の配属があるなど、地方色があるのが特徴です。また獣医職だと試験方法にも特色が出てきています。教養科目がなかったり、集団討論があったり、専門科目がないところや、専門科目が記述の所もあります。なので、自身の能力に合った都道府県を狙うというのも公務員になりたければ一つの手かもしれません。

 最後に市の獣医職です。市は主に食肉衛生検査所を持つ市など、独立して獣医が必要な部署を持っている都市の採用が主になります。ただ、獣医職ではなく、食品衛生監視員としての採用を行っている市もあり、獣医師免許で採用に有利になることはあっても、必ずしも必要ではないこともあり、その点は考慮すべき部分です。ただ、このような市では、採用条件に獣医師免許は必要とされていないので、獣医師国家試験に落ちた場合にも採用が取り消されないというメリットがあります。

獣医系公務員の就活の他と違うところ

 まず公務員就活のほかと大きく違う点として一番に挙げられるのが時期です。企業就活が4月から6月に内定が出る時期が集中するのと違い、スタートが4月から6月、内定が出るのは夏ごろに集中します。逆に言えば、他の就活よりもスタートが遅くても人気の都道府県、部署に合格の可能性があります。また、最終学年から就職先を考えだした方も、インターン、見学などの学生時代の行動は企業や大手病院と比べてほとんど採用に影響がなく、実力一本で行けるのが公務員就活のメリットです。

 ただし、時期は同時にデメリットともなります。

公務員一本に絞った場合、公務員試験に失敗してしまった、少ない数しか受けなかった、となった場合、就活の結果が分かるころには企業や有名病院の試験、面接時期はほとんど終わっている上、公務員として残っているのは、二次、三次の募集を行っているような地域のみとなり、とれる選択肢がかなり狭まっている可能性があります。また、地方自治体は試験日程が密集していることもあり、滑り止めとして受けている自治体の試験日程が自分の第一志望にしている自治体の面接日と重なってしまうことなどもあります。

つまり、公務員一本でいく場合には、場合相応の覚悟、もしくは落ちてしまった場合のリスク管理を事前に考えておくことが重要となります。

 次に違う部分として、契約内容です。公務員は就職に関して内定する前に給与の詳細が知れる職業です。学生の立場でも、○○県○○職俸給表、と調べれば、基本給が出てくる上、そのほかの手当て(地方手当など)に関しても自身の力で情報を手に入れることができます。気になる人は自身で調べてみるといいかもしれません。

 最後に最も重要な違いとして、筆記試験がある程度重要視されることです。

農林水産省では一次、二次と筆記ののち、最終が面接であり、地方自治体では一次、二次試験とある自治体が多く、主に一次が筆記、二次が面接です。一次の筆記試験に通ることができなければ、どんなにしっかりしている人でも、どんなにやる気がある人でも面接を受けることはできません。足きり程度の自治体もありますが、東京のような人気の都道府県、採用人数が少ない自治体では半数が一次試験で落ちるうえ、最終の評価にも筆記試験の結果が影響することもあり、筆記試験は重要なファクターとなってきます。このため、他の就活と違い、面接のみでは突破できないのが公務員試験の特徴です。

公務員就活前にやっておいた方がいいこと

公務員志望をする際は、自分が行きたい自治体に絞らず、受ける可能性が少しでもあれば様々な自治体に見学、インターンなど行くことをお勧めします。先程の、他と違うところ、で話した話と少し矛盾してしまうかもしれませんが…。

 「公務員を数ある職場から選んだ」という理由で選んだ人と、「就活を始めた時期的に職場環境がいい就職先が公務員しかなかった」人では、面接時に話せる話に差が出てきます。「ほかの自治体とは違う部分を説明できる」面接カードを一枚確保する、という点では安心感が違います。必須ではないですし、人事に強い働き掛けをするものではありませんが、あると非常に有用なカードです。

 また、公務員一本にしないというためにも、練習と就職先確保のために企業などを一度でも受けてみることをお勧めします。私は公務員一本の人だったのですが、面接のときになって非常に後悔しました。

企業を受けている人はES、面接を一度経験してきているので、面接カード(後ほど説明します)もある程度できあがった状態で試験に突入するうえ、面接経験もあるので落ち着いています。対して、私の方は初めて面接のときには冷や汗が止まりませんでしたし、何をしゃべったかあまり覚えていません。実際、落ちました。さらに、企業で内定があった場合、世にいうNNTの状態ではないのでさらに余裕ができます。実際、農水省の合格者で話した際にも、内定者の多くが企業などを受けていました。

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各方面の公務員対策

教養科目

 こちらはどんな自治体や国家公務員、総合職に関わらず、基本的な攻略法は一点のみになります。あとは、こまごまとしたテクニックのみです。

その一点の攻略法は、どれだけ数的処理を早く解けるかです。

教養の成功、失敗はここにかかっているといっても過言ではないです。基本的にはこの範囲は数的推理、判断推理、資料解釈(地方によっては空間把握)、の3つ(4つ)に分かれます。もちろんすべての範囲を早く解けることが一番いいですが、実際は難しいので、とりあえずは一つ早くできるものを作りましょう。他のものは平均程度のスピードでかまいませんので、早く解ける範囲を一つ作るだけでもかかる時間は大きく変わってきます。このためには、できるだけ多くの問題を解くのが最も近道です。よく聞く、「わに」や「玉手箱」の参考書をひたすら解きましょう。そののちに自身の受ける場所の過去問を解くのがベストです。過去問を解き始めるのはだいたい2-3か月前でいいと思いますが、同じ試験区分は同じ様な問題が出やすい傾向にあるため、必ず一度きりでは終わらせず、何度か解きましょう。

 この後はテクニックの話になります。要は小手先の技です。そのことを理解したうえで読んでください。

 意外と早くできる科目、それが国語です。国語はみんながなんとなく通り過ぎて、何となくだらだら解いてしまう科目です。しかし、実際本気で解いてみると一問1分ほど短縮することができます。国語のコツとしては「全文読まない」です。とりあえず各段落の一文目のみ読んで、それぞれの段落に中見出しを付けます。この後、内容把握(内容が当たっている選択肢を選ぶ)なら、選択肢に合った中見出しの段落を読み、答えを出します。内容把握は二段落にまたがる選択肢は少なく、一段落を読んで解決する選択肢が多いです。

次に要旨把握(全体の文の内容を示している選択肢を答える)、こちらはまとめ段落をとりあえず読みましょう。素の段落のみで削除できる選択肢が比較的あります。これを考えたうえで解けば、読む量は半分程度で済むはずです。

 次のテクニックとして、捨てることです。わからない問題は即捨てましょう。解けなかったら正解率が…、なんて考えている暇はありませんし、実際詰まるのは数的が多く、その辺りは解き方を知らなければ元から解けないという問題も多いです。その上、公務員試験を経験したからこそ分かることですが、みんな意外とすべての問題はできていません。なので、正答率など考えずに、1-2分考えて兆しすら見えなければ、とっとと捨てましょう。その後、すべて解き終わって、余裕を持って考えれば、何となくわかってくるということも私の経験では多かったです。

面接の注意点(共通点)

注意点として共通するのが、面接カードです。面接カードは企業のESと同じようなもので、だいたいの自治体は面接一週間程度前に提出を求められます。形式については様々な特徴があり、書く量が異常に多い自治体、手書きのみの自治体、データでひな形を出してくる自治体など様々です。しかし、面接官はこれを読んで面接内容を決めている場合がほとんどなので、企業のESレベルで考えることが必要です。

 面接カードに関しては、自身のみで考えるのではなく、必ず他の人にも見てもらいましょう。各学校の就職窓口に加え、元公務員の先生、先輩などにも見てもらうのが鉄板だと思います。

主な獣医職の対策(農林水産省、都庁、地方公務員)

農林水産省

 農林水産省獣医系技術職の特徴といえば、やはり二回の専門科目テストです。基本的に公務員は専門科目のテスト回数は0-1回で終わることが多く、選択、記述の双方があるのは国家公務員ならではです。しかし、専門科目が多いからといって、対策が難しいというわけではありません。なぜかといいますと、傾向がかなり偏っているからです。農林水産省のテストには地方自治体と違い、犬猫関連の疾患はほとんど出てきません。選択のテストは薬理、病理、生理などの基礎科目に加え、農林水産省の重視している大動物疾患がメインで出てきます。出てくる範囲はかなり絞られるため、農林水産省に請求するなどしてまずは過去問を解きましょう。少し特殊な点として、自給率、エコフィード、飼料米などの近年の畜産状況を聞く問題が必ず出ることです。この範囲の対策には、農水省の畜産の現状をまとめたPDF、統計などを読んでおくのが有効です。

 次に記述ですが、こちらも選択式と同じ傾向が強く、基本的には感染症の重要疾患、抗生物質など、過去問を見ると決まった範囲しか出てきません。なので、こちらも過去問を取り、何度も解きましょう。専門科目の過去問は1-2か月前に解き始めました。

 面接カードは自己アピール、学生時代頑張ったことなど、オーソドックスな内容が多いですが、農水省の政策関連を聞かれるのが特徴的です。どのような政策を行いたいのか、または行っているのかをはっきりさせていかないと厳しめに突っ込まれることもままあり、その点に関しては面接カード以上の情報を頭に入れていくことが重要です。また、面接カードはパソコン可なので、できるだけ情報を盛り込みましょう。ただ、自身の希望部署でやりたいことに方向性を統一することは念頭に置きましょう。ここで面接官が興味の一切わかない面接カードを作ってしまうと、面接はかなり厳しいものになるかもしれません。

 面接の注意点としては時間が短めであるということです。他の自治体の面接と比べ、時間が5分ほど短いです。そのため、少しでも答えに詰まってしまうと即時間が過ぎていきます。なので、面接カードの時点での興味が面接の下地にあり、その上で十分それについて準備が出来ていることが地方自治体より重要です。その上、面接カードに沿わない脈絡のない質問が飛んで来たり、厳しめの質問が飛んできたりと、その場での対応力がかなり重要となります。また、試験官の数が地方自治体と比べてかなり多く、一人一人の質問数が少ないのも特徴的です。

東京都

 都庁の特徴として最も大きいのが時期になります。他の地方自治体と違い、1か月早い5月なうえ、専門が記述式、小論文があるなど非常に首都として他との差別化を目指したテストとなっています。また、時期の性質上、練習として受ける人も多く、倍率が異様に高くなり、獣医系地方公務員では最難関レベルで難しく、一次足きりがほぼ1/2とこちらも異常に高いボーダーです。このため、東京に受かりたい人は必ず教養、専門、小論文を全て準備するようにしましょう。

 面接カードは書ける内容が異常に少ないのが特徴的です。表面一枚だけ、という面接カードは他の自治体にはなく、どれだけスリムに内容を置けるかというのが明らかに求められています。この範囲内にどれだけ情報を詰め込めるのかが面接の鍵でしょう。

 面接カードとは打って変わって、面接はいたってオーソドックスで聞かれる内容も面接カードに沿った内容や、東京に入って何をしたいかなど普通の内容がほとんどです。このため、どれだけ想定質問の準備をしてきたかに合格がかかってきますので、就職窓口での面接練習、想定質問を友達と考える、質問定番集の本を買うなど、基本をスマートにこたえられる準備をしっかりしていきましょう。

地方自治体

 自治体によりかなり変わりますが、筆記は選択式がほとんどです。小論文などある自治体もありますのでその点はよく調べましょう。

 面接に関しても地方ごとに様々ですが、総じてオーソドックスな質問をしてくることが多いです。つまり、面接対策に関しましては東京とほぼ変わりません。また、自治体によっては人間性を見るのを念頭においているような自治体もあるため、こちらに関しては緊張せず、焦らず、やる気を見せる、というのが最も重要になると思います。

公務員獣医職を目指す方へ

公務員獣医師は内々定がでる時期が遅く不安になることがかなりあります。そのようなときは必ず先輩や先生など身近な人に相談しましょう。意外な人が意外な回答を出してくれることもありますし、経験者の意見は何より参考になります。また、内情を知っている人に話を聞けば、面接官の人となりの情報が手に入るかもしれないので先生などへの相談もおすすめです。

 公務員を目指す友達は少ないかもしれませんが、協力して情報を集めるのが非常に重要ですので、友達と協力して試験を勝ち抜いてください!

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