コラム

小動物臨床

【獣医師のお金事情】調査結果大公開!

臨床で働く獣医師の収入は低い!?臨床・公務員・企業でどう違う?一挙紹介!

みなさんは、「獣医師の収入」と聞くと、どれくらいをイメージしますか?
 
獣医師が就く職種は様々なので、学生のうちはピンとこない人もいるのではないでしょうか。
 
今回の記事では、実際に調査された獣医師の収入を紹介します。
 
就職活動する前に知ることで、卒業後の自分の経済面のイメージをつかんでおきましょう!
 
※この記事は、調査を実施した、ルパ・カパ@実験動物獣医(Twitterアカウント@alpacapa)様に、許可を得て作成しております。
目次
1. 獣医師の収入は低い?医師や薬剤師と比較してみた!
2. 職業別で見てみよう
3. ライフワークバランスを重視した収入を得るためには?
4. おわりに

この調査は、474名の獣医師へアンケート形式にて行われました。まずは、獣医師全体の収入から見ていきましょう。

若手獣医師(平均年齢31.6歳)の平均年収は、555万円という結果になりました。
また、男女別の結果を見ると、女性獣医師の年収は男性獣医師の年収と200万円近くの差があるという結果となりました。
 
日本人の30代前半の平均年収は約400万円と言われているため、男女ともに、比較的、獣医師の収入は高いと言えます。しかし、まだまだ「獣医師の収入は低い」と感じる意見は多いようです。
では、獣医師の収入が低い理由には何があるのでしょうか。

医学部、歯学部、薬学部よりも収入が低い
 
実は、同じ6年制大学を卒業する医師や歯科医、薬剤師に比較し、獣医師の収入はずっと低いのです。
 
医師の30台前半の年収は約1,037万円、薬剤師は約530万円です。
 
高額な学費を払い、多くの時間を費やし、国家資格を勝ち取ったにもかかわらず、収入は医師の半分以下、薬剤師よりも低くなっています。
 
筆者の周りの獣医師にも、高額な獣医大の学費を6年間払ったのにもかかわらず、卒業後の収入は低いと嘆く人が多い現状があります。
特に、卒業後、奨学金を返済しなければならない人にはとってはツライ現実と言えるでしょう。
 
このように、他の6年生大学出身の医療従事者と比較すると、
獣医師は安定しているとは到底言い難い、と言っても過言ではありません。
 
参考:https://career-picks.com/average-salary/isya-nensyuu/
参考:https://shingakunet.com/bunnya/w0033/x0454/nenshu/
 
 
仕事量と給料が見合っていない
 
獣医師の収入が低いと感じられる理由には、「仕事量と給料が見合っていない」という意見が多いと思われます。
 
小動物臨床獣医師の場合、診察時間に行う診察以外にも、入院患者の管理や検査、手術や日カンファレンスなど、多岐にわたる業務があり、病院によっては昼休みも関係なく働いたり、残業が続く場合もあります。
 
また、若手獣医師は業務をこなしながらも、知識と経験を積むために、先輩獣医師から手術を学んだり、休みの日もセミナーに参加したりと、多忙な日々を送っています。
 
人手不足の病院では、有給休暇を取得しづらい場合もあるようです。
 
このため、仕事量と収入が見合わず、収入が低いと感じる獣医師は多いようです。

獣医師全体の収入について紹介しましたが、ひとえに「獣医師」といっても、その働き方は様々です。ここでは、獣医師の職種別に見た収入を紹介します。

勤務医として働く小動物臨床医(平均30.5歳)の平均年収は492万円です。
 
経験・知識、多くの資金とリスクが必要になりますが、開業医として成功すれば、収入は獣医師の中でもダントツでトップになることができます。
 
しかし、多くの若手獣医師は勤務医として働いています。
朝から夜まで、多くの人は昼休みを返上してまで働いているにも関わらず、
小動物臨床の勤務医は、獣医師全体の年収より低いのです。
ハードな仕事なのに給与が見合わなく、離職率が高い傾向にあります。

大動物臨床は、小動物臨床に比較し、勤務医の平均年収は500万円台と高収入です。
全国的な獣医師不足が関連している可能性がありますね。
 
しかし、大動物臨床医として開業しようとしても、なかなか収入が上がらないのが現状のようです。大幅な収入アップを目指すなら、やはり小動物臨床で開業をするのが一番でしょう。

公務員獣医師は、小動物臨床獣医師に比較しやや収入は低くなりますが、そこまでの差はないでしょう。
 
臨床の道へすすまないけれど、残業時間が少なく、休みもしっかり取ることができ、安定した収入を得たい場合は、公務員はおすすめです。

一方、企業については、調査結果では小動物臨床よりも高収入ですが、実際には、会社の規模によって様々です。獣医師免許が活かせる製薬会社などでは、収入がアップしやすい傾向にあります。
 

小動物臨床医の収入は、院長の方針によることが殆どのため、動物病院によって様々です。
 
今や日本には1万件以上の動物病院があると言われています。
最近はその中でも、専門の診療科目に特化した病院や、「働きやすさ」や「労働に見合う収入」を、勤務医のニーズに近づけている動物病院が少しずつ増えてきています。
 
そんな千差万別な動物病院から、いかに自分に合った動物病院を見つけられるかが、長く働く一番のコツになります。
 
このため、事前にしっかり実習や説明会などで、「どれくらいの給与か」「昇給は可能か」「残業・週休数はどれくらいか」を、下調べすることがとても重要です。

ペットの飼育数が徐々に減ってきている現代、より高度な獣医療や、専門性が求められ、生き残れる動物病院が限られていく可能性があります。
 
このため、一般的な一次臨床のほかに、プラスαで自分にできることを探すことが、今後小動物臨床で生きていく重要なカギとなるでしょう。
 
例えば、専門分野を極めるのもよし、仕事以外の時間で、副業として獣医師免許を活かしたビジネスを始めてみるのもよし。
 
学生のころから、「なんとなく小動物臨床」ではなく、「自分だけにしかできない獣医師とは何だろう」「どんな獣医師になりたいだろう」と考えておくことが非常に重要です。

いかがでしたか?
獣医師とひとことで言っても、収入面から見ると、職種別の現状が伺えますね。
まだしっかりと就職先を決めていない方は、学生のうちにそれぞれの職種を下調べしたり、可能なら目で見て確かめることが重要です。
後悔しない新米獣医師のスタートを切りましょう!

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